「ちょっといないうちに、オレも落ちたもんだな」 突如響いた、その声。 (え…?) エックスは思わず我が耳を疑った。 だが、聞き間違えるはずがない。 なぜならそれは、エックスが一番耳にしてきた声だったからだ。 そして、ずっと待ち望んだ声だったからである。 (まさか…まさか!) エックスは高鳴る胸を押さえ、恐る恐る、ゆっくりと後ろを振り返った。 「…ゼロ?」 そこにいたのは、間違いなく自らのよく知った、本物の赤きイレギュラーハンターだった。 「ゼロ、生きていたんだね!」 彼の姿をその目で確かめると、エックスは満面の笑みを浮かべた。 心の底からの、彼の本当の笑顔だった。 それを見たゼロは小さく笑みを返すと、いつもの調子で話し始める。 「エックスだって生きてるじゃないか。大体シグマごときにやられて……」 そこまで言って、言葉を切った。 ついさっき、笑顔で自分を迎えてくれたエックスが俯いていることに、ゼロは気が付いたのだ。 しかも、彼は小さく肩を震わせている。 「エックス…泣いているのか?」 思わず片手をエックスへと伸ばしながら、ゼロはそう問いかけた。 「な、泣いてなんか…」 顔を上げたエックスは、眼に涙を浮かべながらゼロの胸へと飛び込む。 「泣いて…なんか…ない、よ! …だって、こ…んなに、も、嬉し…のに…! おれ、おれ…―――」 それから後は涙声のために、ゼロはエックスが何を言っているのかは理解できなかった。 でも、構わなかった。 エックスがそれほど自分のことを想ってくれていたのだと、ゼロには痛いほど感じることが出来たから。 それと同時に、片時だろうと彼の傍から離れることになってしまった自分を責めた。 エックスが落ち付くまで、ゼロは彼をしっかりと抱きしめていた。 やがて感情の高ぶりが納まってきたのか、エックスがゆっくりとだが話し始める。 「さ…探したんだ…君のこと。でも…何も見つからなかった…」 「…心配かけたようだな」 「ううん、でもおれ…信じてた。君は、絶対に生きているって…! だって君は、誰よりも強いから。誰よりもおれが君のことを知っているから。だから、例えデータ反応がなくったって、パーツが見つからなくったって、ずっと…信じてた…!」 その言葉に、ゼロは込み上げる愛しさを押さえきれずに、静かにエックスの額に唇を落とした。 「エックス…ありがとう」 顔を赤く染め、えへへ…頬を掻くと、エックスはゼロから身を離し、未だ滲む涙を拭う。 そしてゼロにだけ見せる、輝くばかりの笑顔を浮かべたのだった。 「さぁ行こう、ゼロ。一緒に戦おう」 「あぁ。行くぜエックス! ナイトメアをぶっ潰してやろう!」 傾き掛けた夕日が赤く染めた空に、2人の腕が打ち合わされる音が響いた。 待ちわびた再会を果した愛しき者へと向けた、その言葉と共に。 END こちらは、甘く幸せな再会です。会話は、一部ゲームより引用させていただいております。 ゲームの2人は、本当にラブラブでしたよね。テレビの前で、どれだけ悶えたか…! あのエックスの嬉しそうな顔! ゼロの穏やかな表情!! ありがとうカプ○ン!!! よろしければ、「B」と読み比べてみてください。一応、表現など凝っております(笑) 桐屋かなる 2005.12.15(2005.5.12 改訂) |
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